おでん年代記

1998年~2005年:帰国し就職後は景気がだんだん悪くなり、人々の足は味・コスト共に実力派の老舗へ向かうようになりました。

当時足しげく通ったのは新梅田食堂街という、ディープな高架下の食堂街です。幾度かの改装を経てお店も入れ替わったようですが、この中に大変具の種類が多いおでんの名店があります。江戸時代創業の、日本最古(らしい)のおでん屋さんです。

寒くなると早めに行っても満員で入れずということがしばしばあり、残念ながら多くの具を見ることなく大阪を離れることになりました。私は来る度に違う具に挑戦していましたが、結局出るもの全てが美味しかったという偉大なお店でした。この辺から絵で串の先に刺さっているような、三角の黒こんにゃくをよく頼むようになりました。

 

2006年~:東京に移住してからは、会社に近い神田界隈の老舗おでん屋さんに行ってみました。こんなに赤い巨大な豆腐もおでんの仲間なのか!とか、ちくわぶとか、関東(かんと)煮(だき)という割に関西と全然違うと思いましたが、最早薄味に慣れた私には後戻りはできませんでした…。というわけで、やはり東京でも基本的に関西風のおでんをつい求めてしまいます。

先日は京橋にある創業84年というおでん屋さんに行ってみましたが、年のせいか美味しいのに思ったより量が食べられず、不完全燃焼でした。いただいた中では薄揚げにごぼうやにんじんが入った、福袋が良かったです。ねぎ袋やもち袋然り、薄揚げに何かが入っていると何だか分からないけど得した感じがするところが好きですね。

というわけで、ざっと四十数年おでんと共に歩んだ半生を振り返ってみました。皆様の様々な思い出や場面と共に甦る、記憶の中のおでんはどんな味ですか?